穴子を煮る

いつも寄る魚屋に、宮城産の穴子が売られていた。

ん? あなご?
炊いてみるのも悪くない。

2尾を買い求め、台所に移る。

素材は宮城産
40センチ近くある大振りな姿が、1尾398円。ちょうど鰻の蒲焼きサイズで6枚と尻尾の端っこが取れる。寿司ネタにするよりももっと柔らかく、ぷるぷるに炊き上げてみることにした。箸でくずれる感じ、を思い描いて。

熱湯をかける
下拵えをしよう。開いて頭は落としてあるので、たっぷりの湯を穴子の身に掛け回す。きゅうぅと身が縮んでよじれる。この手順を怠ると、ぬめりや臭みが残ってしまう。素材には、もしかしたら事前に塩を振っておいた方が良いのかもしれないが、よくは解らない。

炊き始め
昆布を敷いた鍋に、ひたひたのお湯。本当は、頭と中骨を別に炊いて出し汁を取り、これで炊くべきなのだけれど。灰汁が出るので全部掬う。後半で煮汁を煮詰めるから、雑味を混ぜたくないのだ。

味付けは、ザラメ、日本酒、醤油、みりん。みりんを少し加えないと、身が煮くずれてしまう。

落とし蓋
10分ほどで灰汁が出切った頃を見計らって、弱火に。落とし蓋をしてことことと20分炊く。

炊き上がり
ほうら、いい感じ。煮汁が濁っていないのは、灰汁をちゃんと取り除いたから。これをくずさないようにそぉっと、バットに上げる。

バットに取るそしてくるっと巻いてしまった身をそっと広げ、形を整える。

煮汁の煮詰め
その間に煮汁の「詰め」をやる。味を見ながら、足し算引き算して最終的な味わいを決めるのだ。甘くてとろっとした濃厚な仕上り? いや、今回の炊き上がりは、あまり甘みを加えずにあっさりとした味わいにした。パンチの弱い、軽やかな純米酒のアテになるような。

穴子の身を鍋に戻す。そっと。

かるく炊いて完成
煮汁をまとってくれるぐらいのひと煮立ち、で完成。盛りつけた後の写真は、ない。みんな、僕と家族の胃袋に呑み込まれていった。

ご飯の時は、どんぶりに熱いめしを盛って、煮汁もかけて。僕は酒の肴にこんな風に味わった。夏に庭で収穫した山椒の実を、生のまま醤油漬けにしてある。このふた粒み粒を添えて、香りの移った醤油も垂らしながら。
美味。そのふた文字だけが脳裏に去来した。

imalp について

北アの峰々、信州の山々をごそごそ這いずり回り、山に行けぬ日々はキッチンでデブの素をひたすら。 The Ninja Hiker Imalp walks a minor mountains in Japan. The days which cannot go to a mountain. a kitchen is filled and it makes delicious dishes.
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穴子を煮る への6件のフィードバック

  1. チャイ より:

    隊長、やっぱり、あれですね~
    こう美味しそうなものばかり見せつけられると、腹が立ってきますね~
    老後は、私の近所で料理屋でも開店して下さいませ♪
    料理屋の開店資金は茶柱先生とくわ先輩がもめてましたよ!
    互いに譲らず、「俺が出す、」「俺が出す」って。
    喧嘩は良くないので、折半ってことでお願いしときましたよ♪

    • imalp より:

      團長、遅くなりました。
      ここへ来る暇がない、そういう忙しさでした。
      過去形で書けるのは、さっき今年の仕事が終わったからです。
      これから年賀状と大掃除と、お歳取りの準備です。
      考えると、血圧が下がって意識が薄れます。

      開店資金の件では、もう両先生を頼れないのです。
      くわ先生にはクルーザー買って貰って、浜名湖の係留費用まで払ってもらってます。
      茶柱先生には、向島の料理屋と置屋(芸者代すな…)のツケを
      もう2000万ぐらい立て替えてもらってます。
      なので、開店資金は團長のポケットマネーをアテにしてます。
      こないだ●●●の先物でえっらく荒稼ぎなさったじゃないですか、知ってますよ。
      ケイマン諸島だかの口座がパンパンに膨れ上がってるそうじゃないですか。
      え? コク税当局の捜サ官に知られる?

      あ。誰か来た。

  2. tyabasira より:

    げぇぇ、↑ 団長何を言っているんですか、オイラはもうリタイヤでしがない年金暮らしになるんですからね。
    団長がチョイと相場をいじればすぐでしょうな。あいや、くわさんの元締め料でアッちゅう間ですか。
    それはおいておいて、さすがですねぇ。やっぱ男はこれくらい出来なきゃいかんですよね。
    まあ自分は飲み屋でいただくことにしますが。

    • imalp より:

      お師匠。酒の肴も、だいぶ凝ったものをこしらえるようになりました。
      でも、宴会する時に担いで行って味見してもらえるようじゃなきゃ、いけません。
      なかなか出かけられなくてすみません。
      年内に、ちょいと柴又辺りまで日帰りで、とかも考えてたんですがね。

      でも今年、会えて酌み交わせてしわせでした。
      雨の中でしたが、雨つぶで酒が薄まっていけませんでしたが
      ほほ伝う涙を誤摩化すことができたんで良かったっす。
      来年もきっと会えますよう。
      ちょっと早いんですが、年内もう一本記事上げますが、
      今年お世話になりました。来年も。くっそ。泣けてきちゃう。

  3. さかした より:

    牡蠣が食べたいんですよ。
    と、同時に穴子も食べたいのです。
    定期的に襲ってくる食べたい病。
    ちょうど今がそう。あーん、やられたぁ(;∀;)
    いつも美味しそうで辛いです。
    昼ごはん食べて職場でぼーっとネット見てただけなのに、辛いです・・・穴子が好きだから。

    • imalp より:

      さかしたさん、遅くなって申し訳ないす。
      時々あるんですよね、牡蛎病。圧倒的な圧力で、牡蛎の味わいが脳内再生されて。
      フライ? バタ焼き? 鍋? 炊込みご飯? アビージョ?
      そういうの、ひとつでも思い浮かべちゃうと、連鎖式で。

      いまのおいらは、醤油麹に一晩漬け込んで、ソテー。
      仕上げにレモンではなく、柚子絞って。
      あぐうぅうぅぅ。酒は諏訪の宮坂醸造「真澄あらばしり」一択。
      きんきんに冷えたやつをグラスに注いで、きゅうううううう、って。

      ふっはー!
      ねえ? お替わりしていいすか?

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